読者に違和感を与えない論文
論文がアクセプトされるためには、読者に疑問や違和感を抱かせないようにする必要があります。
論文がリジェクトされる理由のひとつに、査読者が読み進める中で感じる「小さな違和感」の積み重ねがあります。それらが「不満」となり、最終的に論文全体の印象を悪くしてしまうのです。
今回は、読者に違和感や不満を与えやすいポイントについて解説します。
1. 著者による造語や独自の略語の使用
一般的に使用されていない用語や略語の使用は避けましょう。特に英語論文では、略語にしても文字数があまり変わらないことが多く、例えば群間比較における各グループの名称などは、省略せずにその都度記述した方がわかりやすいです。
小説を読んでいて「この人誰だっけ?」とページをさかのぼったことはありませんか? 論文でも同様に、見慣れない用語や略語が登場すると、読者はスムーズに読み進めることができず、ストレスを感じてしまいます。
2. フォントや文字サイズの不統一
本文や図表では、フォントの種類や大きさ、行間は統一しましょう。フォントや行間が途中で変わると、それだけで読者に違和感を与えてしまいます。ささいなことに思われるかもしれませんが、整っていない印象が論文全体の評価に影響します。
投稿規定に指定がない場合、英語論文ではTimes New Roman、12pt、ダブルスペースが一般的です。テンプレートが指定されている場合は、必ずそれに従ってください。
3. 「イントロダクション」や「ディスカッション」が冗長
論文本文には、主旨と関係のない内容を盛り込まないことが基本です。
イントロダクションでは、「これまでにわかっていること」「まだわかっていないこと」「研究の目的」の順に記述するのが一般的です。このうち、特に「これまでにわかっていること」が長くなりすぎる傾向があります。論文と直接関係のない情報は省略しましょう。
また、ディスカッションでは結果を既報と照らし合わせながら解釈していきますが、論文の結果から導かれない新たな議論を展開するのは避けましょう。
4. 文章の論理構成に不自然さがある
書き手にとってよく分かっている内容であっても、読者にはその意図が伝わらないことがあります。これは、多くの目でチェックすることによって改善できます。投稿前には、共著者に文章を確認してもらい、「わかりにくい」「説明が飛躍している」箇所がないかをチェックしてもらいましょう。
査読者も一人の読者であり、読みやすく、ストレスのない論文は、それだけで好印象につながります。今日ご紹介したようなポイントを意識することで、論文全体の印象が大きく改善しますので、ぜひ試してみてください。